建築家の役割
01. 資産としての建築物
建築行為とは建て主の金融資産を建築物というカタチある資産への変換作業といえます.
建築家はその変換過程において、その建築物がより資産価値の高いものになるよう
建て主に代わって取り組んでゆくのが大きな役目と言えます.
何をもって高い資産と言えるかは建て主の立場によって様々です.
住宅であれば、広さ、使い勝手、収納力、デザイン、最新の設備、エコ、耐震性、耐久性、
メンテナンス性など、どのような項目に最大の価値を求めるかは建て主によって違います.
中高層建築、例えばマンションや賃貸用オフィスビル、商業施設であれば、当然、建て主は
その建物の収益力をもっとも重要視するでしょう.
この場合建物のデザインや耐久性は目的ではなく収益性を高める手段となります.
レンダブル比やメンテナンス性は収益に直結する大事な要素であるはずです.
店舗の場合は、集客力の高さを上げるのが一番の目的であり、デザインや使い勝手
(オペレーションのしやすさ)などがもっとも大きな要素となってくるはずです.
これらのように、建築物のどのような項目が重要であるととらえ、なにをもって
その建築物が高い資産であると考えるかは建て主の価値観により様々です.
私たち建築家はそれらの要望を正しく理解し、建て主の価値観に沿った高い資産づくりの
一端を担うのが大きな役割であると考えています.
建築家の役割
02. 建て主の代理人
建築物や住宅を建てようと考えた場合、もし自分自身にデザイン力、コストコントロール能力、
図面の描き方、法律や技術的な専門知識などがあるとすれば、自分の思い描いた通りの建物を
設計することが可能かもしれません.
必要な予算を設定し、欲しい項目に優先順位を付けて100%でないにしろそれらを予算に照らし合わせた
バランスのよい設計図面を作成することができるはずです.
そしてさらに自分自身に施工者の選定能力、施工者との交渉力、現場の知識と監督能力があれば、
設計通りの建物を適正な価格で実際に建設することが可能でしょう.
実際には、施工者の見積り内容をチェックし、不当に高い項目を減額させたり、予算と見積りとを
照らし合わせて、時には設計変更を行い、現場では適切な工事が行われているかどうかのチェックを
行ったりして設計通りの建物が建設されるように指導を行うはずです.
しかし実際にはそれらの作業料は膨大で高い専門的な知識を必要とするため、一般の方が自ら行うのは
なかなかできることではありません.
わたしたち建築家や設計事務所は、実はそのような膨大な作業を建て主の代わりに、建て主の立場となって、
すなわち代理人となってそれらの業務を行う専門家なのです.
一般的に建て主と建築家とのあいだに交わされる設計契約とは、正式には設計監理業務委託契約といって、
その名の通り建て主に代わって業務を委託され、建て主の立場で設計と現場での監理を進めて行くための契約です.
これを理解している一般の方はあまり多くはないようで、どうしても単にデザインをする、
あるいは図面を描く専門家だと思われることがおおいのですが、建て主の代理人としての立場という意味では、
ゼネコンやハウスメーカー、あるいは工務店の設計部などといった施工者側の設計者とはまったく正反対の
立場であると言えます.
この立場を貫くためにも私たち建築家は工事そのものは行わず、設計と監理業務のみを行うという立場に
こだわるべきであると考えます.
建築家の役割
03. 建築家に業務を委託するメリット
先の項目を読まれた方は建築家や設計事務所に業務を依頼するメリットをおおよそ理解できるのではないかと
思いますが、工事費以外に安くはない設計監理料をわざわざ払って建築家に仕事を依頼するメリットとは、
すぐれたデザインや性能を求めてというだけではなく、建て主すなわち発注者側に専門家を雇い入れ、
発注者の立場となって業務を遂行させるためと言い換えてもよいかも知れません.
裁判における弁護士のような役割といえば分かりやすいでしょうか.
誰から報酬を得ているかということを考えれば、建築家や設計事務所が建て主の立場になって業務を行う
というのは当然で、ゼネコンやハウスメーカーの設計者が所属している組織から報酬を得ていることを考えれば、
その立場はちがって当然と言えます.
設計監理業務委託契約はその立場を明確にさせるためのものと言えます.
(ゼネコンやハウスメーカーの設計者を批判している訳ではありません、単に業務体系の違いを説明しているだけですのでご理解願います)
では建て主の代理人としての専門家を雇うメリットを最大限に生かすにはどのようにすればよいのでしょうか?
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04. 建築家を最大限に生かすには?
建て主の代理人としての立場を最大限に生かすには、建て主の考える希望を正確に伝える必要があります.
代理人として業務を行うにも建て主がなにを考えているのかが分からなければ動きようがないからです.
そのためにもコミュニケーションを密にし、できるだけ多くのイメージを共有できるよう双方の努力が欠かせません.
建て主が間違ったイメージをもってしまっている場合、プロジェクトの方針に軌道修正をうながすのも
私たちの役目であると考えます. 法律の範囲内、または社会的なルールを逸脱しない範囲での建築行為で
あることはもちろん、建築物の目的に対する効果的な設計手法に対するアイデアは専門家でなければ
なかなか生み出すことができません.
次の項目では、当事務所における設計業務全体の流れを紹介いたします.
建て主の代理人としての立場を活かすべく、効果的に業務を遂行できるように設計監理業務全体を
4つのステップに分けて進めて行きます.
各ステップの目的と役割を把握しつつ設計業務全体の流れを是非知っていただければと思います.





